RI会長 カルヤン・バネルジー 挨拶
2011-2012年度 RI会長カルヤン・バネルジー挨拶.(2011_5_24)doc(Ward形式)
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RI会長エレクトよりメッセージ
2011-12年度国際ロータリー会長 Kalyan Banerjee(カルヤン・バネルジー氏)

Kalyan Banerjee氏(バピRC・インドグジャラート州)
まずはじめに、全世界200を超える国と地域よりここにお集まりくださった532地区のリーダーである皆さまを、妻のピノタとともに心から歓迎申し上げます。
この会場にお越しになった際、入り口に掲げられた「入りて学べ」という言葉をご覧になられ たことと存じます。私たちが成るべきことは、その文字の記す通りです。私は、謙虚な気持ちで皆さまと向き合い、これからの学びの5日間に私が共に達成すべ きことを明確に描きながら、この場に臨んでおります。これから私たちが共にする経験は、決して忘れることのない意義深いものとなるでしょう。
ここで、しばし皆さまのまわりにどのようなお仲間がおられるかご覧ください。右隣、左隣、 そして前と後ろにおられるのは、皆さまの新しい友人です。どうぞ見回してみてください。国も文化も宗教も異なる方、あるいは違う言語を話し、違う服装を身 につけている方かもしれません。こうした違いにもかかわらず、私たちには一つの共通点がございます。それは、私たちが皆ロータリアンであることです。同じ 希望と夢を持ち、子供や孫、家族の安全と幸福のために同じような願いを抱いています。これからの数日間、出会い、挨拶を交わし、食卓を共にし、共に学ぶ中 で、私たちの友情は深まっていくことでしょう。そしてここにいる誰もが、この機会を待ち望んでいたはずです。皆さま、どうぞご起立ください。席を立ち、前 後左右のお仲間と握手を交わしてください。さあそれでは、早速やってみましょう。
ありがとうございました。本日は、皆さまにとりましても、私にとりましても、誠に特別な日でございます。輝かしい元会長の皆さまをはじめ、理事や管理委員、役員の皆さまという、この偉大な組織の過去、現在、将来のリーダーたちが一堂に会しています。
さて、何からお話しすればよいでしょうか。まず、ロータリーの歴史を紐解くところから始めてまいりたいと思います。 1997-98年度に低コストのシェルター・プロジェクトに着手したのは、オーストラリア のグレン・キンロス元会長でした。このプロジェクトがきっかけとなり、インドの第3260地区、ライプルのロータリー・クラブに、地方自治体から3ヘク タールほどの土地が与えられることになったのです。そこに1軒につき800米ドルの費用で、約33平方メートルのシェルターが500軒建てられました。1 軒のシェルターに対して、オーストラリアのロータリー・クラブが300ドル、現地の3クラブが100ドルを寄付し、残りは財団のマッチング・グラントから 資金が提供されました。シェルターの完成に合わせて、ライプルのクラブが地元の新聞に広告を掲載したところ、およそ5,000件の申し込みがありました。 そこで、ロータリアンたちは、抽選によってシェルターの利用者を選ぶことにしたのです。抽選当日、シェルターのそばの空き地に、ロータリアンや3,000 人ほどの人々が集まりました。私も4,000キロメートル近く離れたムンバイから飛行機で駆けつけました。 確か135人目の当選者だったと記憶しているのですが、アニサ・ベグンという名前が発表さ れると、白いサリーをまとった細身の女性が群衆の中から立ち上がり、ステージへと進み出て、厳かに当選の証書を受け取りました。しかし、その女性は立ち去 ろうとはせず、係りのロータリアンに、「一言、お話しさせていただいてもよろしいでしょうか」と申し出たのです。彼女の真摯な様子に、そのロータリアンは 「一分だけですよ」とマイクを渡しました。すると、彼女はこのように話し始めました。「ロータリア ンの皆さん、私はあなた方のことを知りませんし、あなた方も私のことを知らないでしょう。私は3年前に、夫とまだ幼い3人の子供たちと一緒にライプルに 引っ越してきました。私たち一家は小さな部屋に暮らしていましたが、ある日外から戻った夫から突然、『アニサ、お前とはこれまでだ。ほかに女ができた』と 離婚を言い渡されたのです。そして『タラー、タラー、タラー(離婚だ、離婚だ、離婚だ)』と3度繰り返し、荷物を一つにまとめて夫は出ていってしまいました。
「私は途方に暮れました。翌日、大家さんから立ち退きを言い渡されました。夫が家賃を払って いなかったのです。私は子供たちを連れてさまよい歩き、駅の構内やバスターミナルで夜を過ごしました。警備員に追い出され、野良犬と一緒に道端で一夜を明 かしたこともありました。子供たちはひもじさと寒さと病気のせいで、いつも泣いてばかりいました。私はたまに公衆トイレの掃除をするぐらいしか仕事がな く、食べ物や薬を買うお金もありませんでした」
「そんなとき、親切な方が現れて、シェルター・プロジェクトのことを教えてくれ、読み書きのできない私に代わって、申請書まで書いてくれました。そのおかげでここに来ることができたのです」 そこまで話すと、その女性はステージの上で突然座り込み、何千人もの前でこう言いました。「ロータリアンの皆さん、あなた方が私にしてくださったことが、どんなことかお分かりですか。あなた方は、私と子供たちに新しい人生を与えてくださったのです。本当に、本当に、本当にありがとうございました」
彼女は人目もはばからず、すすり泣き出しました。恥ずかしながら、話を聞いていた私たちも、もらい泣きしてしましました。しかし、その場に居合わせた誰もが、あの涙を通じて、ロータリアンとなったことの真の意味を、深く理解することができたのです。
12年前のあの日以来、私は、同じ人間である人々に希望と尊厳と自信をもたらすには、住む 家を提供するのが一番の方法だと信じるようになりました。家族は家から始まります。あらゆる家族の中心を成しているのが母と子です。そして私たちの住む地 域社会とは、単なる個人の集まりではなく、家族によって築かれています。一つ屋根の下に暮らし、互いを支え、助け合い、共に運命を分かち合っているのが、 家族というものです。良き家族が、良き隣人となり、良き地域社会をつくり、ひいてはそれが偉大な国を築くことになるのです。
来る年度、第一の強調事項を「家族」としたのは、私たちの目標のすべてが家族を中心に据え ているからです。そうしてはじめて、安全な家、水と衛生、疾病予防、そして母子にかかわるすべての問題について考え始めるようになるのです。家族が強くあ るためには、まず、しっかりとした安全な家がなくてはなりません。その家があってはじめて、健康や希望がもたらされ、家族の調和が生まれるのです。
もう何年も前のことになりますが、私はカルカッタのマザー・テレサと共に奉仕させていただ く機会に恵まれました。マザー・テレサは、このように言っておられました。「世界がひっくり返り、苦しみにあふれているのは、家庭の中、そして家族の間 に、愛が欠如しているからです。子供のための時間も、家族の時間も、共に楽しむ時間もありません。愛は家庭から始まり、家庭に息づくものです。今日、世界 にこれほどの苦しみと不幸せがはびこっているのは、その愛が足りないせいなのです。皆が忙しさに追われ、子が親と過ごす時間、親が子と過ごす時間がほとん どありません。世界平和の崩壊は、まず家庭から始まるのです」平和を取り戻すには、家庭と家族から始めなければなりません。
第二の強調事項は、私たちが一番得意とすることを継続していくことです。なぜなら私たちに は得意とすることが数多くあるからです。きれいで安全な水の提供、識字力の向上のほか、新世代という新たな奉仕部門を通じて、明日のリーダーとなる青少年 を育成する活動などが、その代表的な例です。もちろん、ポリオ撲滅にも継続して力を注いでいきます。私たちはゴールに限りなく近づいています。デズモン ド・ツツ大主教が語るように、ポリオは「あと少し」で撲滅できるのです。これらすべてを行うためには、引き続き長期計画に沿って、こうした活動の発展、充 実させ、さらなる高みへと進化させていかなければなりません。そして、ロータリー財団の未来の夢計画を支援していかなければなりません。
発展は繁栄につながり、繁栄は平和につながります。ですから、これからも地域を育む活動を 続けていきましょう。インドのクラブのように、ダムや橋を建設するという大きなプロジェクトもよいでしょう。あるいは、学校の教室に机や黒板や扇風機を備 えるといった小さなことでもよいでしょう。始めてみれば、本当に大切なのはプロジェクトの規模ではなく、誰かの必要を満たしてあげたいという意志であると お気づきになるはずです。「難しい」仕事は今すぐにでき、「不可能な」仕事は少々余分に時間がかかるだけだということを、私は経験から学んでまいりました。
大きな行為はもちろんですが、小さな行為にも人の人生を変える力があることを、忘れずにい たいものです。ポンと肩をたたいてあげたり、励ましの言葉をかけてあげたり、時には微笑みを投げかけるだけで、相手に笑顔をもたらすことができるのです。 こちらが笑えば、周囲が共に笑ってくれます。私たちの年度の目標に加えてさらにもう一つ、来る年度を笑いと喜びと幸せの年度にしてまいりましょう。ロータ リアンも配偶者も含め、皆が、1日3回は笑顔を交わすようにしましょう。そうすれば、一日800万の笑顔をもたらす計算になります。たとえ偉業を成し遂げ ることがかなわないにしても、大きな愛をもって小さな善を行うことなら、いつでもできるはずです。
ロータリアンとは、ロータリーの奉仕を通して理想を形にする現実的な理想主義者であると、 私は考えます。私たちは「四つのテスト」を拠り所として、友情と親善を分かち合い、あらゆる人の中に真の価値を見出しながら、倫理的に、誠実に生きようと 努めています。ロータリアンは並のことには満足しません。なぜならロータリーは非凡な組織だからです。私たちが自分自身を高めることによって、世界を高め ようと取り組むのは、このためなのです。
ですから、改善できること、変えるべきこと、始めるべきことに目を向けましょう。こうした 事実を勇気をもって見据え、変えるべきことは何かを見定め、行動していかなければなりません。私たちは皆、ロータリーを通じて世界を変えたいと望んでいま す。ロータリアンとなった理由は、まさにこれに尽きるのではないでしょうか。過去よりも明るい未来を築くことができると、私たちは信じています。私は、マ ハトマ・ガンジーの「世界の変化を望むなら、あなた自身がその変化にならなければならない」という言葉が好きです。
2011-12年度の第三の強調事項を「変化」としたのは、このためです。世界に望んでい る変化に、まず私たち自身がなることです。平和を望むなら、家庭に、地域社会に、自分自身の生活に平和をもたらすことから始めるのです。環境破壊に歯止め をかけ、子供の死亡率を減らし、飢えを減らしたいと望むなら、自分自身がこの変化の担い手とならなければなりません。それにはまず、自分自身の中にこそ変 化を起こすことの必要性を認識しなければならないのです。
変化をもたらすには、常識の枠を超えて考える必要があります。私たちと同じような活動をし ている団体と協力し合い可能性を探る必要があります。私は、ロータリーと国連が共生関係にあると考えることがあります。ミレニアム開発目標に協力して地域 社会のニーズに応えることによって、この関係をさらに発展させることができます。また、ロータリアン行動グループも頼もしい存在です。安全な水、マイクロ クレジット、エイズ予防、識字などの各分野で、承認されて間もないながらも、既に実績を備えたグループが、能率的かつ効率的に奉仕するためのロータリーの リソースをさらに補強してくれることでしょう。
これまでと同じく、次年度にも力を入れる必要のある目標分野は、二つあります。一つ目は、 ロータリーの活動を担う新しい会員を増やすことです。ユーチューブやフェイスブックに精通した、今世代の若く新しい会員の勧誘に焦点を当てるべき時は、も うとっくに到来しているのです。彼らは誘われるのを待っています。ですから、彼らの扉を開いてあげなくてはなりません。世界のあちらこちらで、少しずつこ のような受け入れ体制が整い始めています。しかし、ロータリー独自のネットワークをますます広げるには、世界中でこれを実行する必要があります。私が申し 上げたような変化に力を注ぐなら、結果は必ずついてくるはずです。
もう一つ力を入れるべき分野は、世界にロータリーの物語を巧みに語り伝えることです。こん なに良い仕事をしているのだから、世界が見てくれているはずだと、私たちは思い込んでしまいがちです。しかし、大抵、世界はロータリーの活躍に気づいてい ません。エバンストンの国際ロータリー本部から百メートル程度のところにいる学識ある人々ですら、「ロータリーって何ですか」と言うありさまです。ですか ら、私たちは、現代的で独創性にあふれ、よく練られた方法で、ロータリーの物語を世界に伝える必要があるのです。新聞や雑誌には暗いニュースの記事ばかり があふれています。ですから、私たち心温まる話を語らなければなりません。国や地域によって、伝え方は異なるかもしれませんが、私たちには語るに値する話 があるのですから、それを伝える必要があるのです。
本日、私たちは、人生の貴重な1年間をロータリーに捧げる覚悟を決めたのですから、私たち 一人ひとりに、果たすべき役割があることをしっかりと理解しておきましょう。それぞれの国に戻り、ただベストを尽くすと言うだけでは不十分です。私たち は、全力投球し、やるべきことは必ず成し遂げると自らに誓う必要があるのです。
これを成し遂げるための決意と力は、皆さま一人ひとりの中から引き出されるものですから、 皆さま全員がきっと成功を収められると確信しております。何かを成し遂げようと思うなら、ありとあらゆる知恵を振り絞らなければなりません。それには、ま ず自分自身の内側から始めるしかないのです。「私はなぜここにいるのか。あなたはなぜここにいるのか」と、自らに問いかけてみるべきです。その答えを申し 上げましょう。それは、私たちは誰しも人生の充足を求めており、今私たちが担わんとしている責務が、まさにその充足の一部であるからこそ、私たちはここに いるのです。
この充足を得るには、内なる自分とそとなる自分との均衡を図る必要があるでしょう。内なる ものが願望や意志や気力であるのに対して、外なるものとは自ら取る行動や創り上げるイメージです。ですから、こころの中を見つめ、内に秘めたる力を解き放 ち、その力を駆使して、まわりのすべての人、すべての物を受け入れるよう、皆さまにお願いしたいと存じます。どうぞ、まず自分自身を見つめ直してくださ い。それから、ご自分が定められた目標に向かって、一歩一歩、自信を持って進んでください。自ら発見し、潜在的な力を引き出し、迷わず、ひるむことなく、 「出でて奉仕し」、世界で博愛を広げてください。次年度のテーマは、このことを言い表した「こころの中を見つめよう 博愛を広げるために」です。
では、どのように実践すればよいのか。それは、これまでお話ししてまいりました通りです。 世界中のすべての灯りも、自信の内にある一条の光の尊さには及びません。皆さまのこころに愛と献身の光が輝くよう、理解の光が射すよう、家庭に調和のとも し火がともるよう、そして皆さまの手から奉仕の明るい光が絶え間なく輝くよう、私は願っております。
最後にある話をご紹介いたしましょう。私の愛読書に、トルストイの大河歴史小説「戦争と平 和」があり、これはロシア遠征が失敗に終わるナポレオン軍を描いたものです。この話の中に、フランス軍がすぐそばまで迫り、絶体絶命の窮地に立たされた2 人のロシア人、将校とその友人が会話している場面があります。
将校に向かって友人が、「勝利をもたらすのは武器だ」と言います。
将校は、「いや、勝利を決めるのは武器ではない」と反論します。
すると友人は、「だとしたら、一体何なのだ」と尋ねます。
将校は一瞬間を置いてから、このように答えます。「勝利を決めるのは、僕やこの男の中にある気持ち、兵士一人ひとりの中にある気持ちだ」
なぜ、この話で本日の話を締めくくろうとしているのかと申し上げますと、一つには、 戦争と平和についてロータリーの多く語られてきたことが挙げられます。しかし、それ以上に、私はこの20分間のお話の中で、ロータリアンとは、ロータリー とは、まさに皆さまの中の気持ち、人間の中にあるきもち、私の中にある気持ちであることを伝えたかったからです。
「こころの中を見つめよう 博愛を広げるために」このテーマを胸に、この国際協議会が皆さま一人ひとりのご期待に添う体験となりますよう、心より願っております。
カルヤン・バネルジー
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